王なるイエス―イースターのデボーション Timothy Keller著サンプル

「権利なき自己主張」



すると、女は答えて言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンくずは、いただきます」。 そこでイエスは言われた、「その言葉で、じゅうぶんである。お帰りなさい。悪霊は娘から出てしまった」。 そこで、女が家に帰ってみると、その子は床の上に寝ており、悪霊は出てしまっていた。

（マルコによる福音書7:28-30）



言い換えますと、この女は「はい、主よ、しかし小犬もその食卓から食べます。私も、私の分を頂きに来たのです。」イエスはたとえ話で語られましたが、イエスが挑戦とともに申し出を投げかけられたことが彼女にはわかったのです。彼女は挑戦に対してこう答えました。「わかりました。私はイスラエル出身ではありませんし、イスラエル人が礼拝する神を礼拝しません。したがって、私の席がないのはわかります。承知しました。」



素晴らしいと思いませんか。彼女は腹を立てず、自分の権利を主張しませんでした。彼女はこう言います。「わかりました。私の席はないかもしれませんが、食卓には世界中の人に行き渡ってまだ余るほど十分ありますし、私は今、私の分が必要なのです。」彼女はイエスを最も敬う方法で受け答えし、駄目だというイエスの答えで引き下がりませんでした。私は、この女のとった行動が大好きです。



西洋の文化では、このような形で自己主張することはありません。私たちは自分の権利を主張することしかしません。自分たちの権利を擁護し、自分の尊厳と善にのっとって「これが私の受ける分だ」と言う以外に、主張の仕方を知りません。しかしこの女はそのようなことを言ったのではありません。彼女は、権利なき主張をしたのです。権利なき主張、それは私たちにとってなじみないことです。「主よ、私の善良さに基づいて、それにふさわしいものをください。」とこの女は言っているのではありません。「神の恵みに基づいて私には値しないものをください。私にはそれが今、必要なのです。」と言っているのです。彼女のこの応答には、イエスからの挑戦と申し出の両方があることを認め、その両方を受け込めていますが、これがいかに注目すべきことかお分かりになりますか？



ラビ（ユダヤ教の教師）としてのイエスの、彼女へ対する返事は「それこそが答えだ！」と訳されるのが良いでしょう。聖書の他の翻訳では、イエスが「すばらしい答えだ、信じられないほどの答えだ」と言われているものもあります。こうして、彼女の嘆願は聞き入れられ、娘は癒やされました。



あなたが神へ近づこうとするときの姿勢は、この異邦人の女の信仰からどのような影響を受けるでしょうか？



抜粋書籍

JESUS THE KING　Timothy Keller著　© 2011 Timothy Keller

Penguin Group (USA) LLC, A Penguin Random House CompanyのメンバーであるRiverhead Booksより再販

JESUS THE KING学習ガイド　Timothy Keller, Spence Shelton共著©2015 Zondervan, a division of HarperCollins Christian Publishers