神は見てくださる

「しかし主はサムエルに言われた、『顔かたちや身のたけを見てはならない。わたしはすでにその人を捨てた。わたしが見るところは人とは異なる。人は外の顔かたちを見、主は心を見る』。」サムエル記上16章7節

数年前に旅行に行ったとき、家族で飛行機に乗る直前に、私はコーヒーを買いに行きました。娘たちを落ち着かせるために、夫のニックは先に搭乗してくれていました。搭乗ゲートに戻ってきて、ターミナルから搭乗橋に移ろうとした時、航空会社のスタッフの一人が私にちらりと目をやってこう言いました。「奥様、あなたは搭乗することができません。」

私は困惑して、どういう意味なのか聞き直しました。

「そりゃぁ、ここを離れてコーヒーを買いにいく時間があったなら、飛行機に搭乗する時間はもうないってことですよ。」

私はショックを受けました。意味がわかりませんでした。搭乗時刻を過ぎてはいないことを分かっていましたから。「ゲートは開いているじゃないですか、航空券を受け取って、乗せてください。」

彼女は頑として応じようとしませんでした。

「夫と子どもたちがすでに搭乗しているんです。乗せてください。」と私は言いました。

それでも彼女は一向に譲りませんでした。

そのとき、どうしようもない気持ちになって、困惑して、自分がちっぽけな存在に思えたことを覚えています。女性スタッフは共感を一切示すこともなく、私が家族と離れ離れになってしまうことを心配もしてくれませんでした。彼女には、私の姿は見えていたでしょうが、本当の意味で見てはいなかったのです。

最終的に私は飛行機に乗ることはできましたが、そのスタッフによって自分がどんな気持ちになったかを忘れることはできません。そして、自分もまた、イエスのようではなく、彼女のように行動したときのことをよく覚えています。他者が見えてはいたけれども、本当の意味で見てはいなかったのです。接客してくれるレストランのスタッフや、マニキュアサロンの美容師さん、お店の店員さんを特に意識もせず見過ごすことは、なんてたやすいことでしょうか。コーヒーを手渡してくれるバリスタを気にも留めず、スマホに視線を落としていることなんて、どれほどよくあることでしょう。私たち自身が他者を認識せずに見過ごしていることなど、何度もあることです。

見えていることと、本当の意味で見ることは同じではありません。搭乗ゲートの女性には私が見えてはいましたが、本当の意味で見てはいなかったのです。物理的な視線を向けていましたが、私の状況を受け入れて理解してくれてはいませんでした。

神は、私たちに物理的に視線を向けかつ本当の意味で見ることを望んでおられます！ 主の視点で他者を見つめることを望んでおられるのです。特に、日常生活で出会う人々のことを。

祈り

天の父なる神様、他者を本当の意味で見つめ、誰も見過ごすことのないよう、私の心の目を開いてください。私の周りにいる人が本当の意味で見られている、知られている、耳を傾けられている、尊重され、価値があるものとされていると感じられるように助けてください。この学びを通して、今までよりもはっきりと他者を見つめ、あなたの視点で見ることができるように成長する方法を教えてください。イエス様の御名（みな）によってお祈りします。アーメン

クリスティン・ケイン（Christine Caine）著、"20/20: Seen.Chosen.Sent"（未邦訳）より抜粋。Copyright © 2019 by Christine Caine. Reprinted with permission of Lifeway Women. All rights reserved.